先日、大阪・梅田で開催された大阪透析医会の講演会を聴講してきました。先生方はじめ看護師、臨床工学技士など188名の参加があったそうです。
特別講演1では、院内感染対策のエキスパートの先生の『透析施設に必要な感染対策と抗菌薬の基本的な考え方』という、私たちにとって重要で興味深い講演でした。
「多剤耐性菌が世界中で増えていて、孫の世代には抗菌薬は残せない」と冒頭から衝撃的な話から始まり、2050年には感染症死亡率ががん死亡率をぬいて1位になるとの予測が出ているそうで、人類が目に見えない細菌に負ける日が来るのかもしれません。
感染対策においては、媒介者となり得る医療スタッフの知識と意識が重要で、それらを理解したうえで行えば怖いものではないとのことでした。
特別講演2は、山形県からの著名な先生のお話で『透析医療のパラダイムシフト』というのがテーマでした。
パラダイムシフト?とは
①科学者集団に共有されているパラダイム(考え方・認識の枠組み)が、ある時点で革命的・非連続的に変化すること。②思考や概念、規範や価値観が、枠組みごと移り変わること。(引用 大辞林 第三版)だそうです。
以前の透析医療における成果だった「生きる・死ぬ」から、最近は「生きているだけでなく、どう生きるか・生き方や質を問う」ものに変化してきていると。医療技術の研究・進歩や新薬の開発による治療の在り方の変化を日本や海外のデータを踏まえての説明と、日常の診療のことや体験談を交えた絶妙なトークでいつものように会場を引き込んでおられました。
先の抗菌薬の考え方・使い方も『パラダイムシフト』その一つなのでしょうか。
患者さんにとっての不快な症状がひとつでも軽くなり、楽しい生活ができて長生きができるよう、微力ながらお手伝いをしていきたと思います。
臨床工学技士