透析治療について

第1章 腎臓の働きと疾患
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腎臓のしくみ

腎臓は糸球体と尿細管とよばれる部分からできています。腎臓に入った血液は糸球体でろ過され、尿細管に流されます。尿細管はろ過された物質の中から必要なものを回収し、老廃物を尿として排泄します。

腎臓の場所のイメージ ろ過と再吸収のしくみ
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腎臓の働き

  • 1.老廃物の排泄
    エネルギー源となる物質が体内で利用された結果できた老廃物を尿として排泄します

  • 2.水分量の調節
    尿を多くしたり少なくしたりして調節することで、体内の水分量を一定に保ちます

  • 3.体液バランスの調節
    電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン等)の濃度や量を調節します。また、血液を弱アルカリ性に保ちます

  • 4.血圧の調整
    ナトリウムや水の排泄を調整するとともに、血圧を調整するホルモンを作っています

  • 5.ビタミンDの活性化
    ビタミンDは腎臓で活性化されて初めて、一人前の働きをする活性型ビタミンD3に変化します

  • 6.造血刺激ホルモン(エリスロポエチン)の分泌
    赤血球数を一定に保ちます

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腎不全と慢性腎不全

腎不全

腎不全とは、糸球体の網の目がつまり、血液をする機能が落ちてきて老廃物(尿毒症性物質)と水分が排泄できない状態を言います。さらに進行すると、尿の量がしだい減少していき、ついにはまったく出なくなってしまいます。

慢性腎不全

慢性腎不全とは、数か月~数十年以上の長い経過の後、先にあげたような、腎臓の働きがゆっくりと悪くなり回復しない状態のことを言います。この状態を放置していると、尿毒症といわれる状態となり、生命を維持することが困難となります。従って、透析治療や腎移植が必要となってきます。慢性腎不全をきたす原因疾患としては、慢性糸球体腎炎や糖尿病性腎症、のうほう腎、腎硬化症などがあります。

腎不全のイメージ
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尿毒症の症状

尿毒症とは、腎不全の進行により老廃物(尿毒症性物質)が体にたまることが原因で起こります。

尿毒症の症状